フィルムをデジタル化する際の画像ファイル形式は以下の表に記されているように、さまざまな種類がありますが、主なファイル形式としては「TIFF」と「JPEG」になります。
フィルムをデジタル化する際には、それぞれの特徴および用途に応じて、より効果的に使い分けることが重要なポイントです。
形式 | 圧縮 | 拡張子 | 備考 |
---|---|---|---|
TIFF | 非圧縮 | .tif | 高い解像度が必要な場合に用いられる。 |
JPEG | 圧縮 | .jpg | Web等でよく使われる形式。保存等を繰り返すと画像が劣化する。 |
PICT | 圧縮 | .pct | Apple社の標準保存形式。 |
BMP | 圧縮 | .bmp | Windowsでもっとも一般的な保存形式。 |
PNG | 圧縮 | .png | Web用として用いられる形式。 |
HEIF | 圧縮 | .heic | iOS11から採用され、高画質でありながらファイルサイズがほぼ半減。 |
フィルムのデジタル化でよく使うファイル形式
TIFF
TIFF(ティフ)とは「Tagged Image File
Format」の略で、拡張子は「.tif(.tiff)」となります。複数の画像による表現をタグという識別子で記述して、1つのファイルに紐付けることで構成される形式です。
デジタル化したデータを圧縮による全体のデータ量を抑える処理を行わないため、サイズの大きな画像や高解像度の画像を取り扱う際に向いています。一般的に印刷業界で使われる形式で、異なるOSのパソコン間で画像を扱う場合などに利用できます。
TIFF形式は、WEB上での表示に対応していない点に注意する必要があります。フィルムをデジタル化したデータをWEBにアップしたい場合は、JPEGなどのWEB表示に対応した形式へ変換(デジタル化)しなければなりません。また、極端に大容量のデータとなってしまうこともあるため、特に必要がなければJPEGなどの形式で扱った方が無難でしょう。
JPEG
JPEG(ジェイペグ)は、印刷物向けの写真画像に使われるファイル形式で最も一般的です。「Joint Photographic Experts
Group」の略で、このファイル規格を考案したグループ名が名称となっています。拡張子は「.jpg(.jpeg)」が用いられます。
人間の視覚では認識しにくい情報を削減して情報量の圧縮を行う、「非可逆圧縮」という方式でファイルサイズを圧縮していることが大きな特徴です。非可逆圧縮のため、フィルムからデジタル化した画像データを保存するたびに画質が劣化してしまう点には注意が必要です。
JPEG形式はファイルサイズが小さい上に、色数はフルカラーに対応して視覚的には十分きれいなため、一般的な写真フィルムの画像データを扱うのに最適なファイル形式です。
その他のファイル形式
PICT
PICT(ピクト)は「QuickDraw Picture」の略で、米Apple社が開発したMac
OSの標準利用画像ファイル形式です。※拡張子は「.pict」が用いられます。
WEB上では直接表示することができませんが、Mac
OSで利用できるアプリケーションの多くがPICT形式を扱えます。そのためフィルムをデジタル化する工程で、アプリケーション間でデータをやり取りする中間ファイルとして利用されるケースが多いです。
PICT形式でデジタル化した際、データとしてはビットマップ画像とベクター画像、テキスト情報を混在して持っています。そのためデジタル化したフィルムのデータを、ベクター画像を扱うAdobe
Illustratorなどのソフトで保存し、ビットマップ画像を扱うAdobe
Photoshopなどのソフトで開くことができます。色彩はフルカラー1670万色を扱うことが可能です。
※ Mac OS X からは標準利用画像ファイル形式としてPDFを採用しています。
BMP
BMP(ビーエムピー)は、「Microsoft Windows Bitmap Image」の略で、Microsoft
Windowsの標準利用画像ファイル形式です。拡張子は「.bmp」が用いられ、Mac OSで用いる標準ファイル形式「PICT」と同じような立ち位置のファイル形式といえます。
デジタル化されたフィルムのデータをピクセル単位で分割し、一つ一つのピクセルに色情報を持たせて管理する方式を「ビットマップ画像」と呼びます。BMPはビットマップ画像の中でも最も歴史が古いフォーマットです。
色情報はデジタル化されたデータのすべてのピクセルにそれぞれ指定されるため、データのファイルサイズ総量が大きくなるという特徴があります。そのためメール送信などのファイル転送やウェブでの利用には適していません。
また色情報はRGBフルカラーで指定されるため、BMP形式でデジタル化された画像を表示しようとした場合はRGBモードを選択する必要があります。
近年では同じビットマップ画像のJPG、PNGなどが主に用いられ、BMPを利用する現場が少なくなっていますが、BMPは基本的に画像を圧縮せずに扱うため、何度編集しても劣化しないというメリットもあります。劣化しない点を利用して、デジタル化したフィルムの画像編集時に利用する場合、保存する場合に利用する場合などがあります。
PNG
PNG(ピング)は「Portable Network
Graphics」の略で、拡張子は「.png」となります。ビットマップ形式の画像ファイルですが、デジタル化したデータを圧縮した際の劣化がない(可逆圧縮、ロスレス圧縮)ファイル形式で、ウェブ用としてJPEGと並び広く利用されています。
PNGは1996年に登場したファイル形式で、数ある画像ファイル形式の中でも比較的新しいフォーマットです。PNG-8、PNG-24、PNG-32のファイルタイプが用意されており、PNG-8は8ビット(インデックスカラー)、PNG-24は24ビット(フルカラー)の色表現が可能で、用途によって使い分けることができます。PNG-32はPNG-24に透過情報(αチャンネル)を持たせたファイルタイプです。
劣化が無く透過画像も扱えるGIF、高画質でファイルサイズが小さいJPEGのメリットを併せ持ったPNGはウェブを中心に多く利用されてきていますが、透過させるだけならGIFの方が、高画質画像が必要なだけならJPEGの方がファイルサイズは小さく済むので、フィルムをデジタル化する際の利用用途によって使い分けられています。
HEIF
HEIF(ヒーフ)は「High Efficiency Image File
Format」の略で、拡張子は「.heic」となります。米Apple社が2013年に開発したフォーマットで、iOS11から採用されています。
フィルムをデジタル化する際に直接登場する形式ではなく、iOS11以降のiPhoneなどでカメラアプリを使用し写真を撮影した際、保存される形式が標準でHEIF形式となっています。HEIFはそれまで標準だったJPEGに比べ、画質は高画質のまま格段にファイルサイズが小さく保存されます。
iOS11のために開発された画像ファイル形式のため、iOS10以前や他の古いOSでは扱う事ができません。通常iPhoneから写真を転送する際には自動的にJPEGに変換されて転送されるため、不都合を感じることは少ないですが、転送方法によってはHEIFのまま転送され、転送先で扱えなくなることがあるので注意が必要です。
またHEIFを動画に利用した「HEVC」という動画ファイル形式も同時に開発され、こちらもファイルサイズを小さく保存できるので注目が集まっています。
フィルムをデジタル化する際は保存形式が多数あり、それぞれにメリットデメリットがあります。何のためにデジタル化をするのか、元のフィルムをどう扱いたいかという目的・用途によって最適な画像ファイル形式を選択しなければ、思っていたより画像が粗い!思っていたより容量が大きい!といった事になりかねません。
堀内カラーでは長年の経験と豊富な機材でお客様のフィルムを最適な形でデジタル化し、これまでも多くのお客様に高い評価を頂いております。もし保存形式で不安がありましたら、ぜひ堀内カラーまでお問い合わせください。長年の経験と知識を持ったスタッフがお客様に最適なプランを提供いたします。