退色について
フィルムの退色の主な原因は光によるもので、その他温度や湿度など様々な要因で引き起こされます。
光によって引き起こされる退色を明退色と呼び、光の当たらない所でも起きる退色を暗退色と呼びます。
例えばカラーフィルムの場合、フィルムのカラー画像を形成しているシアン、マゼンタ、イエローの色素それぞれが劣化することで退色が起こります。明退色の場合、光に含まれる紫外線によりマゼンタ色素の劣化が促進され全体的に青っぽい画像になります。紫外線は日光に多く含まれるため、直射日光にあたる環境だとより退色のスピードは速く進行します。室内においても蛍光灯の光にも紫外線は含まれるため、明退色が進行するといわれています。
また暗退色は光にさらされる事なく暗所に保管されていても、温度や湿度その他の要因によっておこる化学変化で引き起こされます。暗退色の場合は明退色とは違い、フィルムに含まれる色素のうちシアン、イエロー系色素の劣化が促進されるため、全体的に赤っぽい画像になります。
これらの退色が起きてしまった場合、軽度の症状であればデータ化をした上で画像補正をかけることによって、元の画像に近い状態まで復元することは可能です。しかし退色の程度が重度で、色素が大きく失われている場合は復元をすることは難しくなってきます。
フィルムの劣化は退色だけじゃない!
また退色以外にも、高温・多湿化の環境下で密閉された空間で保存されたフィルムに起きやすいビネガーシンドロームという症状は、重度の場合フィルムがボロボロになり、スキャンや復元が出来なくなりますし(別記事参照)、素手で触れた後やホコリからカビが発生する場合あります。乳剤面に胞子をのばしたカビは除去できませんし、ベース面のカビも少量であれば拭き取って除去が出来ますが、カビが成長し根が深くなるとカビの除去は出来ず、画像は虫食いのような状態になってしまいます。
このように写真フィルムの劣化の原因は様々で、中長期の保存を考えると、多くのリスクを抱えているといえます。さらにどれも重度の場合は永遠に画像が失われてしまうことになるため、早い段階での処置を考えるべきです。処置の一つは劣化を防ぐ適切な環境に保管することがありますが、これはかなりの費用が必要となることから容易ではない上、あくまで劣化の進行を最大限遅らせるという処置になります。どんなに気を使って保存環境を整えても、写真フィルムも物質である以上必ず劣化は起きてしまいます。
大切なフィルムを綺麗なまま保管する最も良い処置として、堀内カラーはデータ化をお勧めしています。デジタルデータは劣化しないため、半永久的に保管をすることができ、更にデータベースとして管理すれば、閲覧性も上がり、利活用が促進されるなどメリットも沢山あります。
堀内カラーは写真に携わる幅広いサービスを提供しており、フィルムのデータ化はもちろん、退色補正、データベース構築から、アーカイバル包材の提供まで行っております。
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